矯正治療は、こどもの時期(乳歯列期、混合歯列期)に行う早期治療と大人の時期(永久歯列期)に行う本格矯正治療の2つに分けられます。
不正咬合(悪い噛み合わせ)は、大人になって突然生じるものではありません。この原因は、幼少期からの癖や遺伝による影響などが関係します。早期治療の目的は、成長を利用し、骨格的なずれの改善と顎と歯の大きさの調和を整えることです。したがって、こどもの時の問題を小さい時から治療することによって、健やかな顎の成長を促すため、大人の時の問題が少なくなります。将来的な問題を徐々に小さくしていくため、患者様にかかる負担が小さくなります。そのため、当院では早期治療を重視しています。
本格矯正治療(永久歯列期で行う矯正治療)で永久歯を抜く理由は、3つあります。
1、歯と顎の大きさの比率が悪い場合(歯に対して顎が小さい、顎に対して歯が大きいなど)。
2、上顎と下顎の位置のずれ(前後的、左右的)が大きく、そのずれを歯の移動でカバーする場合。
3、口元が出ていたり、口唇が閉じられない。
これらの問題を改善するためには、スペースを作る必要があります。
抜歯以外にスペースを作る方法は、4つあります。
1、顎の幅を広げる。
2、歯を後ろに下げる。
3、歯を前にだす。
4、歯を削る。
当院では、1、2の方法を積極的に利用して、抜歯の可能性を低くし、可能な限り非抜歯矯正を目指していきます。
日本人は西洋人に比べて顎の大きさが小さく、奥行きが短いという特徴があります。そのため、すべての患者様にこの治療法が当てはまるわけではありません。治療法を検討した結果、やむなく抜歯せざるを得ないこともあります。無理に非抜歯矯正を行うことにより、歯周組織に負荷をかけすぎたため歯がもたないという問題や、出っ歯のような口元になるという審美性の問題が生じるためです。
歯に対して顎が小さい、顎に対して歯が大きいなど
上下顎骨の偏位、臼歯対咬関係に偏位が認められる症例
口唇閉鎖不全などの機能的要因と、側貌観などの審美的要因